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房一はあれから相沢の息子を診みに五六度行つた。殆どその度ごとに会つているので、相沢知吉といふ人物については一通りのことは知つているつもりだつた。同時に相沢の経歴についても聞知していた。
「なに、消防演習?」
と云ったそうだ。
と、小谷は目を丸くした。欲しさうだつた。すると、逸早く、
「いやあ、全く」
富田はすぐ又自分の方に話をひきとつた。
そんな風におぼえていてくれるとは思ひがけなかつた。
「はあ、はあ」
「先づそのうちには、町内の様子もいろいろお解りになることでせう。これでなかなか面倒なこともありましてな」
「ふむ」
胡坐をかいた道平は今膝小僧までまる出しにしていた。それも日に焦げている。
「小倉組といふと、下の工事場の方ですな」